オレンジで働くスタッフインタビュー

オレンジの取り組みや職場環境について、現場で日々勤務するスタッフが語ります。
【3】山本安奈医師

子育てに十分な時間をあてながら、医師としても成長できる毎日です

山本安奈 プロフィール
医師。1980年鹿児島県生まれ。もともと「その人全体」を診られる医師に憧れがあった。京都で初期研修を行った後、県立病院ERで研修中に結婚、以後福井の魅力に惹かれ福井在住に。紅谷先生に導かれ在宅医療を学び始めて4年目。学生時代に憧れた「全体を診る」医師像に近づくべく日々邁進中。

オレンジに勤務したきっかけは?

 後期研修先を探していた時、主人(現オレンジ勤務・山本勝司医師)の知り合いだった紅谷先生(現オレンジホームケアクリニック代表)と会う機会があり、紅谷先生が当時勤務していたクリニックに誘われたんです。子どもが産まれて育児中少しブランクがありやや不安がある事と、まだまだ子供に手がかかり長時間の勤務は無理ですと先生にお話していたのですが、「じゃあ週に1時間から始めよう」と言ってもらえて。徐々に勤務する日数を増やし、一人で任せてもらうことも増え……と言う感じで、段階的に無理なく勤務を増やしてくれて、気がつけばフル勤務になって外来、入院、訪問診療を行っていました。先生のおかげで医師の仕事と子育てと無理なく両立できました。その後先生がオレンジを開業される時に、また紅谷先生と一緒に働きたくて、こちらの医師になりました。
 紅谷先生は褒めて伸ばしてくださるタイプなので、気持ちよく私の医師としてのキャリアをスーッとここまで導いてもらった感じです。オレンジに来てからも、先生に自分にはちょい先の課題をポンポン与えていただき、ますます自分の能力が伸びている実感があります。

医師としてのスキルの成長はどんな時に感じるのですか?

 家庭医の仕事は、一般的には成長を感じづらいと言われています。外科医のように「手術ができるようになった」などの分かりやすいスキルアップがないですから。だから家庭医の研修医は、途中で挫折してしまう人も多いんですね。私も一時期、自分の成長に自信をもてない時期もありました。でも最近は、家庭医としての成長を実感できるようになりました。
 どういう時に成長を感じるかですが、一言でいうと自分が今まで診てきた濃い症例の積み重ねでしょうか。オレンジでは、いつも目の前の患者さんと向き合います。初診の患者さんにあたる時は、毎回その病気について教科書や論文を調べ、その知識を目の前にいる患者さんに還元する。それを目の前の患者さんにあう医療へとカスタマイズしていく、つまり薬を飲むタイミングや処方、検査の選択ひとつとっても、患者さんの生活背景や心理面に気を配って提案して相談して決めていきます。告知は受けたいか、どういう形で亡くなりたいかなんて話も。最終的にはその方の事を誰よりも知っていると思えるまで深く入って行きます。その結果、患者さんや家族から「ありがとう」と言っていただいたり、連携をとらせていただく訪問看護師さんやケアマネさんなどの他職種の方にお褒めいただいたり、亡くなった後も「よい療養だった」と言っていただき、周りがみんな幸せに療養生活を送っている。あるいはまた、そういうことの積み重ねで、自分の診察の幅が増えたと感じています。毎回その患者さん中心のドラマを観ているような感じですね。そのドラマがより良くなるよう、そっとサポートする気持ちです。私はオレンジに来て、初めて本当の意味で“患者さんと向き合う”ということを知りました。医療現場でこのような体制は、珍しいのではないでしょうか。

オレンジに来て、診察の方法も変わったのですか?

 多くの所では医師と看護師、ケアマネさん、それぞれが自分の役割分担に沿って働いていますが、一緒にという感覚は掴みにくいかもしれません。医師は医業だけやれればよいというような。ですがオレンジでは、患者さんに関するすべてを全員で共有します。正直なところ、今までは医師としてどこか虚勢を張っていて、他の医療従事者に何かを聞いたりすることは恥ずかしいと思っていたんですね。でもオレンジに来てから、その意識は全くなくなりました。自分たちが身の丈でできることを、お互い少しずつやればいい。その職種のプロ同士が集まって意見を出し、患者さんに一番よいものを提供する、その意識の変化が一番ですね。その分、自分の専門の「身体的な面」に責任も感じ、ポジティブにプロ意識もでてきましたが。